この記事では、キャラクター(版権含む)やイラストを扱うデザインを10年以上担当しているデザイナーが常々特に意識していることを3点ご紹介します。
まずはじめに
キャラクターを用いたデザインはノンキャラデザインと異なり、意識するポイントが少し異なります。
どんなポイントが異なるのか詳しく見ていきましょう!
ノンキャラデザインを扱う時に特に意識しいてること3点
ノンキャラデザイン(※1)の場合は、デザインをする時に特に意識することは以下の3点です。
もちろん、他にも意識していることはありますが特に優先順位が高いのがこの3点となります。
(※1)ここでいうノンキャラデザインとは、キャラクターを使わないデザインのことを言います
1.誰に向けた何を訴求するためのデザインか
2.デザイン(成果物)でどんな結果を生み出すか
3.時代や世界観にあったデザインか
キャラクターやイラストを扱う時に特に意識しいてること3点
キャラクターやイラストを用いたデザインの時は優先順位が変わってきます。
もちろんノンデザインの時に意識していることも大切ですが、それ以上に次の3点が大事だと思います。
1.キャラクターの関係図
2.キャラクターや番組の世界観&カラー
3.【デザイン制作時の素材の物語時間軸】と【発売時の物語時間軸】
同じデザイナー職の方にも、え?関係?時間軸?なんのことと言われます。
どんなデザインの分野を扱うかによって優先事項はかわります。
大枠を世界の国と例えるなら、同業種の分野違いは同じ国に住む異なる県民というようなイメージです。
なのでデザイナー同士の共通言語はありますが、一部は全くの未知な言語だったりするわけです。
キャラクターの関係図
キャラクターのデザインを扱う場合、大まかに3つのパターンに分かれます。
1.キャラクターが指定されている
2.キャラクター選びから任される
3.大体のキャラクターを選定され、この中から自由にと言われる
2と3については特にキャラクターの関係がわかっていないとデザインラフすら組めません。
そして、版権キャラクターを取り扱う場合は必ず版権元の監修に提出する必要があるので、関係性がわかっていないと何度も修正が必要になり時間のロスに繋がります。
時間を無駄にしないためにも、基本的な関係図はしっかり押さえておきましょう!
関係図を理解した所でどんな風にデザインに活かすんだ?
例えば、指定されたキャラクターが「ライバルや敵関係」の場合と「相棒や仲間関係」の場合では「構図(レイアウト)」を特に意識し、「構図(レイアウト)」自体に意味を持たせるようにします。
構図(レイアウト)の一例
・ライバルや敵関係=向き合うような構図やそれぞれの空間を分ける
・相棒や仲間関係=一体感が出る並び、同じ空間に配置する
関係性がわかるとキャラクターの配置や構図、全体の雰囲気が決まりデザインもより意味のあるものとして出来上がります。
※大前提としてファン(お客様)にとってかわいい、かっこいいという魅力的であるデザインであることは必須条件です
キャラクターや番組の世界観&カラー
取り扱うキャラクターがどのような世界観やカラーを持っているのか、情報をまとめ整理します。
整理するポイントとしてはまず全体の大枠を調べ、徐々に小さい所へとスポットを当てます。取り扱うキャラクターのみを調べデザインとして落とし込む場合もありますが、なるべく単体の点として見るだけではなく多角的に見れるよう全体に点を打ち、その点を繋げるようにしてデザインを起こします。
最低限確認するポイント
1.物語はどんなジャンルか
2.物語の中にどんなグループが存在しているか
3.扱うキャラクターはどのグループに所属し、どんな関係か
4.テーマカラーがあるか(物語の色、グループの色、個人の色)
→例)主人公のテーマカラーは赤、グループのテーマカラーは黄
【デザイン制作時の素材の物語時間軸】と【発売時の物語時間軸】
時間軸は、取り扱うキャラクターに物語要素が強いかどうかによって意識するかしないかを決めています。
例えば物語があまり関係のないキャラクターは、キティちゃんやミッキーが挙げられます。彼らは基本的なプロフィールやお話はありますが、現在進行形で何かが進行し変化していくわけではありません。他の影響を受けにくい、独立したキャラクターとして存在しています。
また、物語要素が強いキャラクターとはここでは、ワンピースやプリキュアなど物語が進むことによって主人公やその他周りのキャラクター達が変化していく流動的なキャラクターのことを言います。
物語要素が強いキャラクターを扱うときは、時間軸のことを頭に置くとよりファン心をくすぐるデザインを生み出しやすいです。
※デザインに扱うキャラクターが原作版権(漫画)かアニメ版権かで複数の時間軸を気にしないといけない場合もあります
時間軸上に当てはまり
1.【制作素材時間軸】=【発売時の時間軸】=ファンにとっては旬なアイテム
2.【制作素材時間軸】≠【発売時の時間軸】=ファンにとっては鮮度の落ちたアイテムと思われる場合あり
時間軸が関係ないコラボや描き下ろし
3.【制作素材】≠【発売時の時間軸】=ファンにとっては特別なアイテム
1と3については特別なデザインの工夫をしなくともアイテムは売れる傾向にあります。ただし、2についてはデザイン面で何かしらのファンに響く工夫をしないと売れにくいことがあります(※2)。
(※2)【制作素材時間軸】の物語が圧倒的人気を誇っている場合は工夫がなくとも売れる傾向にあります
例えば、アニメ版権で〇〇〇編の素材を使用してデザインを組むとします。
ただし、発売予定時期は〇〇〇編がほぼ終わった後の×××編。
アニメ版権の場合、多くが原作の方が物語が進んでいるので参考画像のように、アニメと原作の時間軸を照らし合わせて進行状況を整理します。
照らし合わせると、原作を知っている人にとっては×××編は既に知っている人が多いことが判明しました。その場合、アニメファンのネタバレにならない程度に〇〇〇編の素材を使いながら×××編を少し匂わせるようなデザインを組むようにします。
そうすると一部の原作ファンがそれに気が付き、SNSやクチコミで考察を語ってくれる場合があります。その考察がファンの間で広まることにより、古い素材を使いながらも進行中の物語の時間軸に近いアイテムとなります。